新生活の準備☆荷物送りのしきたり

荷物送りのしきたり(婚礼の際のたいせつな行事)

~しきたりを重んじて行う場合~

 昔、荷物送りは、婚礼の際のたいせつな行事の1つでした。しかし現代では、このしきたりを執り行うところは少なくなってきました。
 とはいうものの、地方によって、あるいは格式を重んじる結婚では、今でも伝統的な荷物送りの行事が行われているところもあります。
 もともと荷物送りの行事は、いわゆる「嫁入り道具」を婚家に運ぶ行事で、荷運搬の責任者として荷宰領を立てて、花嫁の荷物を花婿宅へ、挙式の1週間ほど前の吉日の午前中に運び渡すものです。吉日といっても、仏滅や先負を避ければ、大安にこだわることはありません。
 行事の行われる1例として次に手順を述べますが、これはあくまでも1つの目安です。現代行われているものでも、形はかなり簡略化されているようです。
nimotuokuri


~荷物送りの手順~

1)荷送りの前に、女性宅では、荷を披露します。近所のかた、友人、知人、親戚などの客に、婚礼道具一式を飾って披露し、紅白まんじゅうやこぶ茶でおもてなしします。荷物送りの前日まで飾ります。

2)女性側の兄弟や、親戚などの身内の中の若い男性
(父親が行ったり、年配者を選ぶ場合もある)を荷宰領に立て、いっさいをとり仕切ってもらいます。
 荷宰領とお手伝いの人には、祝い酒かこぶ茶を出し、「本日はお役目ご苦労さまです。目録どおり先方さまへお届けくださいますよう、よろしくお願いいたします」と新婦側が挨拶します。

3)荷宰領は、「荷目録」に書かれている品目と荷物を点検し、まちがいなかったら、たんすなどのカギと「荷目録」をいったん預かり、荷物を積んで男性宅へ向かいます。女性側から同行者はつきません。

4)男性宅では、「お役目ご苦労さまです」と挨拶し、両親とともに本人が荷を迎え入れます。古いしきたりの中には、仲人がそこに立ち会う場合もあります。
 服装は、荷宰領、本人、仲人ともに、スーツなど改まった感じのもの、あるいは、羽織、袴にしますが、あらかじめ打ち合わせをし、服装の格はそろえるようにします。
 荷宰領は迎え入れられたら、カギと「荷目録」を片木盆にのせて、「△△家からのお荷物をお届けにまいりました。お改めのうえ、お受けとり願います。これが目録とカギでございます。どうかお納めください」と言って渡します。男性本人が荷物と
「荷目録」を照合し、確認します。仲人が立ち会う場合は、仲人が確認します。そしてまちがいなければ、「お荷物、目録どおり、確かにお受けいたします」と荷を納め、「荷受書」を書いて荷宰領に渡します。

5)その後、男性宅では、荷宰領に酒肴のもてなしをし、帰りに「お車代」として心づけを渡します。あるいは、もてなしを受けずに、すぐに女性宅へ戻る場合には、「お車代」のほかに「御酒肴料」を渡します。

6)この際に女性からは、男性本人、両親、家族などへお近づきのしるしとしてお土産品を用意し、「土産目録」をつけ、荷宰領に「花嫁より○○家のご一同様に心ばかりのお土産でございます。お納めください」と言葉を添えて渡してもらいます。土産物としては、父親にはネクタイ、ベルトなど、母親にはスカーフや帯締め、兄弟・姉妹には書籍など、また小さい子供には絵本やおもちゃなど、喜ばれる品物を選びます。

7)父親が荷宰領となるときは、先方の家と仲人に手土産を持参するとよいでしょう。また、お年寄りがいて仏壇がある場合には、「ご先祖さまへお土産」として、紅白の結び切りの水引をかけ「御仏前」と表書きをしたお香を、神式なら「御神前」としてロウソクを入れるとよいでしょう。

8)男性宅では、これらの荷と土産物を飾り、親戚などに披露したりすることもあります。なお、受けとった荷はあけずにそのまま飾ります。

9)女性宅では、荷宰領が戻ってくるのを、もてなしの準備をして待ちます。荷宰領から、無事荷物が運び込まれた旨の報告を受け、受取書である「荷受書」を渡されたところで、父親以外の身内の場合にも、10,000~30,000円くらいのご祝儀を渡します。その際の表書きは「上」とします。お手伝いのかたや運転手も含め、もてなしの膳を出して労をねぎらいます。運転手さんには、ご祝儀とて10,000円くらい、お手伝いのかたにもご祝儀として5,000円の謝礼を包みます。またこのご祝儀は、風習によっては、女性宅より出発する前に渡すこともあります。
 荷物送りの経費は、女性が持つしきたりになっています。しかし、運転手さんとお手伝いのかたに、男性からもそれぞれご祝儀を出すしきたりもあります。その際は、女性側と同額になるようにします。
「荷目録」は奉書紙に毛筆で書きます。二つ折りの輪を下にして書くのが正式な書き方で、奉書紙は、1枚、もしくは3枚、5枚と奇数枚にします。書き終えたら、左、右と三つ折りにして、さらに奉書紙で上包みし、「荷目録」と表書きをして、結び切りの水引をかけます。
 内容は、家具と大型電化製品までを奇数書き並べます。
 目録の書き方で、あて先は女性本人になるという考え方から、あて名を書き入れない、同じく受書にも書き入れないという場合もありますから、事前によく双方で打ち合わせをしておきます。
 最近では、デパートなどで専用の用紙がありますので、それを利用するのもよいでしょう。

略式、あるいはふたりだけの新居の場合

 現代では、女性側だけが婚礼家具すべてを負担するケースは少なくなってきています。互いにお金を出し合って、相談しながら、好みに合ったものを選ぶことが多いようです。
 女性側から荷を送る場合も、荷宰領を立てないで行うのが略式のやり方です。品物と荷目録だけを用意し、荷物送りをします。
 ふたりだけの新居なら、形式にこだわらず、都合のよい日、天気のよい日に、購入した業者より、直接送ってもらい、実家より、それぞれ持参するものなどを運び込むほうが、いっぺんですみ、合理的です。当日は、双方の家族や、友人に手伝ってもらいましょう。
 当人たちは、あらかじめ家具の配置などを打ち合わせしておきます。おおかた荷物が運び込まれたら、こまかい整理がすんでいなくても、手伝ってくれたかたがたに食事やお酒を出してもてなします。当日は手料理でもてなすということはできる状態ではないでしょうから、事前に出前が頼める店などを近所の人に聞いておくとよいでしょう。
 もちろん、近所のかたがたに引っ越しの挨拶をすることも忘れないようにします。
 購入先から大がかりな婚礼家具セットなどを配送してもらうときは、運転手さんに2~3,000円のご祝儀を渡します。
 友人や身内だけで荷物送りをすませたときは、後日、双方の家族や手伝ってくれたかた、友人を招き、新居披露の会食をするとよいでしょう。
 双方が分担して家具類を購入した場合や、親の気持ちで買いそろえてくれたときも、新生活スタートの記念に、自分たちの「荷目録」を作っておくのもよいアイディアだと思います。


 








検索フォーム

スポンサーリンク

最新記事

秋の行事(9月)☆重陽(ちょうよう)の節句 2019/08/20
洋食のテーブルマナー(ナプキンの使い方とマナー) 2019/08/11
夏の行事(7月、8月)☆お盆・暑中見舞い・土用 2019/07/30
婚約と結納☆婚約の意味・結納 2019/07/20
会葬のマナー☆葬儀の手順 2019/07/14
夏の行事(7月)☆七夕・お中元 2019/06/29
結婚式の実際☆結婚式当日のマナー 2019/06/25
披露宴でのマナー(服装・スピーチなど) 2019/06/16
結婚のお祝いの仕方とマナー(招待状、お祝い金、書き方) 2019/06/15
夏の行事☆お中元(予算・目安) 2019/06/04
夏の行事(6月)☆父の日・衣替え・入梅 2019/05/31
新春の行事としきたり(1月)☆書き始め・鏡開きなど 2019/05/13
春の行事(2月)☆節分・初午・針供養・バレンタインデー 2019/05/13
新春の行事としきたり(1月)☆正月の後始末 2019/05/13
大人の祝い☆成人式 2019/05/13

スポンサーリンク

カテゴリ

スポンサーリンク

プロフィール

マナーマスター

Author:マナーマスター
年を重ねると冠婚葬祭にまつわる、儀式や行事に参加することが多くなりますよね。でも、今さら恥ずかしくて人に聞けないこともあります。葬儀に参列したはいいが、お焼香ってどうするんだっけ?など。 食事のテーブルマナーについても参考にしてください。